HYOGO. 08.2022
兵庫県丹波篠山市に位置する美しい田園風景が広がる計画地は、はるか昔「榛原郷」と呼ばれ、出雲部族が湖であったこの地の岸辺に住みつき、原野を開拓して稲作を始めたと伝えられている。自然と戦い、寄り添いながら里山を形成してきた歴史を持つこの地に、新たな時を刻む建築の姿を想像していく。
元から湖の上に立っていたような人工地盤を持つ住まいをつくる。クライアントの要望をまとめたボリュームを、外壁ラインより少しだけ角度を振って配置。
残った余白空間から生まれる多様な人の暮らしを支えるように屋根を設えていく。南北に高さを抑えた勾配を持つ屋根と、
それぞれを繋ぐことで生まれる東西に捻った屋根によって守られた空間が立ち現れる。
山々と田園風景、そして水路として存在するかつての湖との関係が時間を超え、はるか太古からそこに佇みながら応答してきた建築として、過去、未来の里山の姿を示していけるのでは無いかと考えた。